LUNA SEAの”STORM”のコード進行を分析してみる
流行のコード進行というものがあると思います。
僕が高校生だった10年前はいわゆるカノン進行が流行っていました。
簡単にいえば、クラシック音楽のパッヘルベルのカノンのコード進行です。もしかしたらカノンロックのほうが知名度高いかもしれません。
あんまり定かではありませんが、当時はやってたファンキーモンキーベイビーズとかGreeeenとかよく使ってた気がします。(ちがったらすいません・・。)
明るくて光が差す感じのカノンコード、当時流行ってた「青春ソング」にぴったりだったんだと思います。
そんなカノン進行も、使われすぎて飽きられたのか、そんな使われなくなった印象があります。
一方、最近やたら聞くコード進行があります。
それは、バンドマンにもファンが多いLUNA SEA
”STORM”のサビのコード進行でございます。
↓筆者がざっくり作った音源です。原曲にはあまり似せてません。
実はわたくし、このコード進行を「335進行」とか勝手に呼んでいました。
335はコード進行のディグリーではありません。
このコード進行が使われている、ラリー・カールトンのRoom335って曲からとっています。
他には、ボアノヴァの名曲「Wave」にも使われていたりと、結構昔からあるコード進行なんだと思います。
肝は部分転調
では分析してみます。
このコード進行の特徴ですが、はじめはEのキーですが、途中でキーがAになります。
もうちょっと詳しく言うと、EからC#mまでは順調にキーがEなのですが、それ以降の「Bm→E7」はキーがAになります。いわゆる部分転調です。
「Bm→E7」ってぱっとみキーがEっぽいですが、EのダイアトニックコードならB7やE△7(Eメジャー7)になるはずなので違います。
ではなんなのかというと、キーAのツーファイブがつなぎで使われているんです。
ツーファイブとは、簡単にいうとダイアトニックコードの2番目(Ⅱm)と5番目のコード(Ⅴ)の並びで、ジャズでは超がつくほど使われているコード進行。
特に5番目のドミナントコードは不安定感があるコードなので、オルタードテンション(♭9など)やディミニッシュトーン、ホールトーンスケールといった、キモカッコイイ音を使ってドヤる見せ場なのです。
ツーファイブに続くのは、大体の場合、1番目のダイアトニックコード(=トニック)にくっつきます。
いわゆるツーファイブワンというやつです。
Aのキーのツーファイブワンは「Bm→E7→A」。
そしてAコードを、Eのキーの4番目のコード(Ⅳ)として使っていくという流れなのです。
つまりStormのコード進行は、「E→B→C#m」と「A→B→C#m」というEのキーのコード進行を、Aのキーのツーファイブ「Bm→E7」でつないでいるコード進行ってわけなのです。
なので、もしギターソロを作るなら「Bm→E7」の部分はEメジャースケールではなく、Aメジャースケールが合うはずです。
(※ジャズ屋さんならBドリアン→Eミクソリディアンという解釈をするかも。)
それにしてもこのコード進行、やたら流行ってる気がするんです。
おしゃれ感があって、かつポップなところが世相にあってるのかなぁって感じます。
なにより、違うキーのツーファイブを挟んで次のコード進行に移行するっていう起承転結の「転」があるから、ストーリー性が感じられるのかもしれない。
Luna SeaのStormもそんな曲で、ダサさを感じないんですよね。
いい感じに空白があったり、変に凝ってなくてスマートというか。
もちろんサビもそうなんですが、間奏の「kiss me in the stormy~♪」のところでギター2本アルペジオ重ねるとか、おしゃれなんですよね。
実はいままでLuna SeaはROSIERぐらいしか聴いたことなかったのですが、改めて他の曲もきいて「あれ、完成度すげぇな」ってなった次第でございました。
今度カラオケで歌お。